(このページの更新日:2024年6月11日)
グルテンフリーとは、小麦などに含まれるタンパク質である「グルテン」を摂取しないことを指します。
アスリートの方がこの食事法を実践したことなどから知名度が上がり、日本でも耳にする機会が増えました。
この記事では、グルテンフリーの実践方法やおすすめレシピをFODMAPの観点も交えながら解説します。
なお、具体的なメニューと作り方をご覧になる方は「グルテンフリーレシピ」を参考にしてください。

このページの監修者
梅田 真衣
Low FODMAP Diet アドバイザー
オーストラリアクイーンズランド工科大学管理栄養学部卒
モナッシュ大学低FODMAP専門コース修了
“腸から人生を心地よく”をコンセプトに
低FODMAP食事法をベースにした食事指導やセミナー、レシピ開発を行う。
Instagram:https://www.instagram.com/mai_fodmap/
2013年カゴメ株式会社に入社。
野菜を活かしたメニュー開発・提案、料理教室講師などの業務に携わる。
第一子出産と家族の大病発覚をきっかけにおなかの調子を崩しIBSと診断される。
低FODMAP食とホリスティック栄養学を学び症状改善。
2021年Low FODMAP アドバイザーとして独立。
みんなの低FODMAPひろばでは低FODMAPレシピを担当。
オーストラリアで学んだ専門知識を活用し日本人の味覚や食文化へ配慮しながら作成を行なっている。
グルテンフリーの食事について知っておきたい基本

グルテンフリーの意義は、グルテンを含まない食品を選び、摂取することで健康の維持や改善に役立てることです。
グルテンは、小麦などの麦類に含まれるタンパク質の一種です。
グルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質が網目状に絡み合い、食品の弾力や粘性を出す際に重要な役割を果たします。
パンやパスタ、うどん、ラーメンなどの麺類、ピザやお好み焼きなどの粉物類、スイーツなどに多く含まれています。
日常的に高い頻度で摂取するグルテンですが、人によってはアレルギーなどの悪影響を及ぼすことがあります。
そのため、グルテンが体に合わない人々にはグルテンフリーによる食生活が適していると考えられています。
また、グルテンフリーにした結果、体のポテンシャルを引き出せたと感じる方もいるとされています。
ただし、偏ったグルテンフリーは栄養バランスを損なう可能性もあるので、グルテンフリーを正しく理解して自分に必要かどうかをまず判断した上で、適切な摂取方法を実践することが重要です。
アレルギー対策としてのグルテンフリー
グルテンに対する一般的な症状として、皮膚や呼吸器などに影響や機能不全が現れることがあります。
これは体内に入ってきたグルテンを免疫系統が異物とみなした際に起こると考えられています。
また、別の反応として、腸の機能が低下し、消化不良、お腹が緩くなること、詰まりやすくなると考えられています。
こちらは一部の人のお腹ではグルテンが消化吸収されにくい性質を持つために起こります。
こういった症状の対策として、グルテンフリーが有用と考えられています。
例としては、小麦粉の代わりに米粉や片栗粉を使用した食事を摂取することで、症状の頻度を下げることが期待できます。
ただし、症状の原因がグルテンではないことも多くありますので、自己診断は禁物です。
症状のある方は医師の指導の元取り組むべきなので、必ず病院で診断を受けるようにしましょう。

低FODMAPとグルテンフリーの関係
FODMAP研究の先端をいくMonash大学によると、グルテンフリー食を厳格に行うべきなのはセリアック病の人のみとされています。(1)
セリアック病とは、グルテンに対する不耐症を指します。
セリアック病ではグルテンを摂取すると小腸で上手く吸収されず炎症などが起こり、下痢や栄養の低下や体重の減少などにつながると考えられています。
オーストラリアではセリアック病と診断されている人は1%程なのに対して、10%ほどの人がグルテンフリーを実践していると指摘されています。
実際の患者の割合に対してグルテンフリーの実践者の割合が多いのは興味深い指摘です。
このことは、セリアック病ではないのにグルテンフリーでお腹の症状に変化を感じる人達は食品中のFODMAPに反応していた可能性もあるとされ、今後の調査研究が必要と考えられています。
「グルテンフリーで体調を管理しているつもりでも、本当は低FODMAP食事法の方が体に合っていた」というような人もいるかもしれません。
グルテンフリーのメリット
グルテンフリーを行うと小麦が材料の食品を避けるので、パンやパスタ、ピザ、ケーキなどを食べる機会が減る傾向にあります。
これにより、カロリーや脂質の過剰摂取が解消されたり、ご飯や十割蕎麦に置き換えることで食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素を摂取しやすくなったりすることが期待できます。
また、グルテンフリーに取り組み食生活を見直すことで自身の食事への意識が高まり、以前より栄養バランス等に全体的に配慮した食生活になる、というパターンもあります。
実践の簡単な方法としては、小麦粉を米粉などに置き換えたり、小麦粉などグルテンを含む穀類を使ったお菓子を避け、果物やナッツなどのおやつを選ぶことなどがあります。
食材の選び方については、次の項目で詳しく解説します。

グルテンフリー食材の選び方
グルテンフリー食材を選ぶ際は、食品表示を見るなどして、小麦粉が含まれていないか確認しましょう。
小麦粉以外にも、大麦やライ麦はグルテンと似たタンパク質が含まれているので注意が必要です。
また、オーツ麦が原料のオートミールには製造過程で小麦が混入することがあると考えられているのでこちらも注意が必要です。
原材料の確認でグルテンを避けたら、次は栄養バランスを考慮し、野菜や肉、魚などのタンパク質を含む食材をバランス良く摂取しましょう。
食物繊維が豊富な食材も忘れずに取り入れることで、お腹に優しい働きも期待できるとされていますが、繊細なお腹の人はFODMAPに注意しましょう。
次の項目でグルテンフリーを実践する際の「摂取して良い食材」と「避けるべき食材」を確認しましょう。
摂取できる食材リスト
小麦を使っていない食材はグルテンフリーの中心となり、代表的な物は以下の通りです。
- 米やキビ、アワ、ソルガム、キヌア
- 小麦粉を使わずそば粉やこんにゃく粉を使用した麺類(十割そばなど)
- グルテンフリーのパンやお菓子
- 小麦粉以外の食材で作られたパスタ(例:米粉、とうもろこし粉、豆類を使用したもの)
- 野菜や果物
- 肉や魚
- 豆類やナッツ類
- コーンスターチや米粉など、グルテンを含まない粉類
- 小麦を含まない調味料
- 小麦を含まない飲料
これらの食材を中心に食事を組み立てることで、グルテンフリーの食生活を実践できます。

ポイントとして、パンや麺でも小麦粉ではなく「米粉」や「大豆粉」で作られたものなら、グルテンフリーの食事に応用可能です。
低FODMAPを実践する場合は大豆や一部のナッツ類が高FODMAPとされているので注意しましょう。
調味料を選ぶ際、通常の醤油や味噌はグルテンを含むことがあるので、たまり醤油(小麦不使用のもの)や大豆の味噌などを選ぶようにしましょう。
また、アルコール類の場合には 「純米の日本酒」「ワイン」「ラム」「ジン」「泡盛」などが、グルテンフリーに分類されます。(ジンの原料には小麦や大麦などのグルテンを含む穀物が使用される場合もありますが、蒸留過程で除去されるためグルテンフリーであると言われています。)
グルテンフリーの食事をメインにするのなら、食べ物と同時に飲み物の見直しも行いましょう。
避けるべき食材のリスト
グルテンを含む食事例として代表的なのがパンやラーメンに代表される加工食品です。
代表的なものは以下の通りです。
- パン類
- 一般的な麺類(ラーメン、パスタ、うどん、そうめんなど)
- ピザやお好み焼きなどの粉物類
- 天ぷらや唐揚げなどの衣に小麦粉を使う料理
- ハンバーグなど、つなぎに小麦粉を使う料理
- 醤油などの原材料に小麦が含まれる調味料
- ケーキなどのスイーツ
- ビールなどの原材料に麦が含まれる飲料
これらの食事にはグルテンが含まれることが多く、グルテンフリーでは避けるべき食べ物となります。

ポイントとして、ハンバーグなどの調理過程で小麦粉をつなぎとして使用している場合、本来はグルテンフリーである肉料理であっても結果的にグルテンが含まれることがあります。
このように、調理のなかでグルテンが入り込む例もあるため、使用する食材や調味料をレシピで確認することが大切です。
また、アルコール類では「ビール」「麦焼酎」「ウォッカ」などに、グルテンが含まれることがあります。(ウォッカもジンと同様、蒸留過程で除去されるためグルテンフリーであると言われていますが、蒸留過程の後に添加される原料や香料によってグルテンを含むことがあります。)
グルテンフリーの食事を実践するのなら、これらの飲み物は十分に注意するとよいでしょう。
FODMAPの観点では、醤油や味噌、ビールや麦焼酎やウォッカなどの糖質が発酵しきったものは分量を守れば低FODMAPとされています。
グルテンフリーの基本的な食事例
グルテンフリーの基本的な食事例には、以下のようなものがあります。
米粉やそば粉を料理に活用

米粉を使って調理された食事は、グルテンフリーの代表例です。
本来は小麦粉を使って調理する食事も、米粉で代替されるケースが増えています。
例えば米粉パン、米粉スイーツ、米粉麺、米粉カレー、米粉てんぷらなどがグルテンフリーの食事として人気です。
また、ビーフンやフォー、ライスペーパーなども忘れてはならない米粉食材です。
かつて米粉を使った食事は、小麦粉を使った食事と比較して美味しさの面で引けを取っていましたが、近年は技術が高まり、米粉を使った食事でも味に遜色ないものが増えています。
そば粉は、そばやラーメンなどの麺類を作る際にも活用できますし、天ぷらの衣やお好み焼きの生地などにも適しています。
これらの粉を使うことで、ビタミン、ミネラルが豊富に摂取できるため、健康を維持する上で大変助けになります。
意識して米粉やそば粉を活用し、食のバリエーションを広げましょう。
和食とグルテンフリーは好相性
和食は日本の食文化であり、栄養素や食物繊維をバランスよく摂れることから健康の向上にも期待できます。
醤油や味噌などの調味料を選ぶ際、小麦が原料に入っていない物にすることで和食でのグルテンフリーがしやすくなります。
おすすめの和食メニューとして、
- 焼き魚
- お味噌汁
- 野菜炒め
- 肉じゃが
などが挙げられます。
これらの料理は、ビタミンやミネラルが豊富で、栄養バランスの改善にも役立ちます。
また、洋食の肉料理に比べて和食の肉料理は脂質が少ない傾向のため、脂質やカロリーの摂りすぎ防止も期待できます。
食べる順番も大切で、先に野菜や魚を食べて、最後に主食を摂ることで、必要以上にお腹が膨れにくく、カロリーの摂取を抑えた食事を楽しめます。
健康のためにグルテンフリーを取り入れる際は、栄養バランスも考慮して、タンパク質や栄養素、食物繊維を意識して摂取するよう配慮しましょう。
市販のグルテンフリー製品
より簡単な方法として、グルテンフリー表示のある食品を利用することもおすすめです。
グルテンフリーの食事を調理する暇がない場合に重宝する商品が増えています。
グルテンフリー製品のみを取り扱っているサイトや店舗も増えているため、手間を掛けずにグルテンフリーの食生活を実現できます。
ただし、製品によっては添加物や糖分が多く含まれていることもあるため、表示をしっかり確認して体に合った物を選びましょう。
次のステップとして、類似した食事法なども参考に自分に合った食事法を見つけてみてくださいね。
グルテンフリーと類似した食事法との違いをチェック
グルテンフリーを実践するにあたって類似した食事法との違いも理解しておきましょう。
類似した食事法①低糖質食事法
低糖質食事法(糖質オフ)は、炭水化物に含まれる糖質の摂取を抑えて、タンパク質や野菜を多く摂る食事方法です。
糖質の摂取量を一定以下に制限することでインスリンの分泌を抑え、脂肪をつきにくくしたり瘦身が期待できます。
グルテンを多く含む小麦粉は糖質量が高いため、低糖質食事法では避けられる傾向にありますが、小麦粉の使用がNGというわけではありません。
「糖質(小麦粉)を低くする」低糖質食事法は、「グルテンを摂取しない=0にする」グルテンフリーとは異なります。
「低糖質」や「ローカーボ」と表示してあっても、グルテンフリーではないことがあるので注意しましょう。
類似した食事法②低FODMAP食事法
低FODMAP食事法とは、FODMAP(フォドマップ)と呼ばれる発酵性の糖質を含む食べ物を避ける食事法です。
お腹が緩くなったり詰まりやすくなったりしやすい、繊細なお腹の人のために用いられます。
「低FODMAP食事法」は、痩身を目的としたものではありません。
小麦粉にはグルテンの他、FODMAPの一種のフルクタンが含まれるため、低FODMAP食事法でもグルテンフリーと同じく小麦粉の摂取を控えることになります。
そのため低FODMAP食事法で使用されるレシピの多くはグルテンフリーに近くなっていますが、醤油やビールなどは許容されている点ではグルテンフリーと異なります。
FODMAPは糖質であり、グルテンはタンパク質なので、着目する成分が異なることから食材の選択も変わることを頭に入れておきましょう。
一週間飽きない簡単ご飯・おかずメニュー
グルテンフリーを実践する際には、まず美味しく楽しめるレシピを知ることがポイントです。
以下では、グルテンフリーのおすすめレシピを紹介します。
市販のルーを使わずに☆カレーライス

市販のルーを使わずにグルテンフリーのカレーライスを作ることができるため、カレー好きには魅力的なレシピの1つです。
繊細なお腹の人が低FODMAPレシピとして使用する際には、唐辛子などが刺激となる可能性があるため、単品のパウダースパイスを使用するのがおすすめです。
また、材料のアーモンドミルクはイヌリンを含まないものを使用すると低FODMAPです。

ふんわり★バナナとくるみの蒸しパン

バナナとくるみを使用したグルテンフリーの蒸しパンです。
ほんのり香るシナモンが特徴で、蒸し器が無くても大きめのフライパンがあれば調理できます。
繊細なお腹の人でも食べられるのが特徴です。
低FODMAPを徹底する場合は、熟していないバナナを使用するようにしましょう。

サクッ、ふわっ☆米粉のお好み焼き

応用編として、醤油をたまり醤油などの小麦不使用の物に替えるとグルテンフリーで楽しめるレシピです。
小麦粉の代わりに米粉を、山芋の代わりに木綿豆腐を使用したお好み焼きです。
肉や野菜などもバランスよく摂れるレシピとなっているため、栄養面でも好ましいレシピです。
トッピングはお好みでOKですが、使用する調味料などにグルテンが含まれていないかを確認しましょう。
こちらのレシピは低FODMAPにも分類されるため、低FODMAP食事法を試してみたい人にもおすすめです。
食事制限中はあまり食べる機会のない粉ものレシピなので、食事を楽しむためにも重宝するレシピです。

まとめ:食生活の改善は継続が大事

グルテンフリーを実践する際には「継続」を意識することが重要です。
グルテンフリーを実施することによって得られるメリットはたくさんありますが、途中で辞めたり途切れ途切れで続けたりするとなかなかその恩恵は実感できません。
グルテンフリーを実践すると決めたなら、継続するための工夫を考えることもポイントです。
例えばグルテンフリーのレシピをチェックできるサイトを探したり、同じように食事方法を変える努力をしている人たちと交流を持ったりといった工夫が考えられます。
また、健康面からは栄養バランスと食材選びが重要です。
食品表示などを確認しながら、調味料や加工品にも注意し、適切な栄養バランスを維持することで様々なメリットを期待できます。
その際は調理レシピのレパートリーを増やしておくのもお勧めです。
グルテンフリーでは食べられる食材が少なくなってしまう面があります。
食事のパターンが限定されてしまうと、栄養バランスが偏ったりストレスの原因になったりするリスクがあるでしょう。
そのためグルテンフリーを継続するのなら、専用のレシピを数多くチェックしてご自身のレパートリーを増やしておくと取り組みやすくなります。
ゆるグルテンフリーでは、さまざまなメニューが「グルテンフリーレシピ」 で公開されています。
定番メニューからこだわりの一品まで多数掲載しているので、是非ご覧になってください。
【参考文献】
(1) https://www.monashfodmap.com/blog/gluten-and-ibs/
https://www.monashfodmap.com/blog/are-gluten-free-foods-actually-better/
https://www.monashfodmap.com/blog/are-oats-gluten-free/
https://www.fodmapeveryday.com/the-low-fodmap-diet-is-not-a-gluten-free-diet/

